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トリガーハッピー

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 鯉にチョコレートをやったことがある。丸くて平べったい、砂糖で薄くコーティングしてあるやつだ。

 その頃まだ小さかった僕はただ、自分の好きなチョコレートを、池の鯉が食べてくれるのか知りたかった。

 鯉は白かったり紅かったり、黒く黄色くびかびかと輝いていたりして、人造池の底は暗い岩だった。そんなところに青だの紫だののチョコレートをぽとん、ぽとんと一粒ずつ落として、鯉がそれを飲み込んでしばらくしてやっぱり吐いてしまうのをずっと見ていた。


 僕が今こうしてキーボードを叩いているのも似たような行動なのかもしれない。

 数珠つなぎになった脈絡のない思考を、吐くだけのために撃ち出す。それが他の誰かに当たるか当たらないかは気にしないふりをして、でもその誰かがそれを受け取ってくれることをどこかで祈りながら、ピエロが万国旗を吐き続けて止まらなくなるように、僕はキーを叩き、マウスを振り回す。

 残弾のカウンターも気にせずキーを底まで押し込み続ける僕はずっと前からゲームの中のパイロットで、ふるふると揺れて沈むチョコレートを見る僕は今でもやっぱりピエロだ。

 

 曳光弾の軌跡を眺めながら、キーを打ち続ける。僕の頬に涙はあるだろうか。

投稿者 uqb5z7 | 返信 (0) | トラックバック (0)

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